占い依存 ～執念深い上司に悩まされ～

数年前のこと、私は仕事の人間関係に悩んでいた。さらに恋愛面でも悩みを抱えていた。

というか、仕事で上司から恨みを買ったみたいで、他の人には分からないやり方で嫌がらせを受けていた。そのため仕事を離れて恋愛面で安心を得たいと思っていたが、微妙に仕事と関係するところがあり、相手に相談して良いのか分からず、一人で抱え込んでいた。

上司は碌な人物ではなかった。人によって接し方を変えるところがあった。当初私のことは好意的に見ていたと思うが、それと同時に扱いやすい部下と思われていた節がある。私は反論などせず黙々と仕事をこなすので、私に振っておけば面倒がないと思われていて、何かと仕事が私に回ってくることが多かった。出張なども卒なくやるので、私には直接聞かずに勝手に10日間の出張を入れられたりもした。たまに残業していたかと思うと、私が帰り支度し始めたころに合わせて「飲みに行かないか」と誘われることもあった。独身の私のことをナチュラルに見下していたのが感じ取れた。自分のことを気が利く繊細なタイプと思っているようだったが、私からすれば他人に厳しく自分に甘い、デリカシーのない人だった。ただし独特なオーラがあり外面は良いので、本当のところを知らない人も多かった。

私は上司のさらに上の上司に相談したことが何回かある。担当している案件の関係で、すぐにどうにかするのは難しい感じだった。

私は悩みすぎて、占いに頼った。インターネット上にたくさんある、『電話占い』のとあるサイトに登録し、色々な占い師に仕事と恋愛のことを相談した。

占い師は様々だった。親身になってくれる人、経験も語彙も少なく頼りない人、強引に時間を延ばそうとする図々しい人など。短期間で何度も相談しようとした私に注意喚起してくれる人も居た。一番弱っていた時期は、月10万くらい使ってしまったことがあった。

あれから数年経った今だから言えること。

占い師たちの言ったことは、ほとんど当たらなかった。仕事の辛い現状も、なかなか改善しなかった。でも相談したときは一時的に安心できた。占いに費やしたお金で、他に色んなことができたとは思うけど、当時はそれどころではなかった。

ただ、本当に当たっていたなと思う占い師の人も3人ほど居た。私の部屋の様子や行動が見えていた人。その人に背中を押され、恋愛面で相手に本音や悩みを打ち明けたら状況が良くなったことがある。別の占い師には、恋愛相談をしていたけど「仕事が辛いという声が聞こえる」と言われ、見通されていたことがあった。

浪費してしまったけど、頑張って生きていたから仕方のないことだと今は割り切って考えている。一時期は依存気味だったけど、それなりに厳しい世界で生きてきた私には、占い師を盲信するほどの純粋な心はなかった。

悩みの種の上司は、私が色々ご機嫌を取って歩み寄ったことで、その後関係が改善したけど、その後も何度か機嫌を損ねさせてしまうことがあった。上司からの提案や飲み会の誘いなどに乗らないと機嫌が悪くなり無視されるということが度々あった。課のグループチャットで他の大勢の人の目に触れる状況で個人的な注意を受けたことも何度かあった。（私が会社のハラスメントに関するアンケートに報告して以降はなくなったけど。）本当に執念深くて厄介な人だった。

その後、私は異動して別の課に移った。異動した後も前の仕事を一部対応していたので、関りはあったけど、あるときまたその人の機嫌を損ねてしまった。きっかけは私が別の業務の都合でその人のどうでも良い提案を断ったため。近くに居るけどあからさまに私には話しかけないな、と思っていて気のせいかと思ったけど、あるとき前から歩いてきたから挨拶したら無視された。どんだけ根に持っているんだか知らないが、心底大人げないなと思った。

ただ、もう異動して上司・部下の関係ではないので気楽だった。下手に出てご機嫌を取る必要なんてない。新しい部署は雰囲気もよく、前までの仕事ぶりを評価してもらえている。何より前の部署の業務の割り振りは私への負担が多かったけど、それから解放されてとても嬉しい。

何より、私はどう考えても間違ったことをしていない。コツコツと目の前の仕事を片付けてきた。占いで使ったお金も請求したいくらいだ。

この世のすべての、ハラスメントを行う執念深くて小賢しいやつが消え失せますように。